第4章「体臭」をコントロールする
においは、健康のバロメーター。
各メディアで話題の『日本人はなぜ臭いと言われるのか』
「はじめに」「おわりに」を完全無料公開。
各章の一部も無料公開致します。
第4章は、体臭です。
体臭は年齢のせいだと諦めていませんか?
体臭は、ライフスタイル次第でで改善も可能です。
書籍の目次
はじめに――実は、臭い! ? 残念な日本人
第1章 「におい」を知る
第2章 「臭う」は、不健康
第3章 「口臭」の正体と、その対策
第4章 「体臭」をコントロールする
第5章 「香り」のデザイン――自分も周りも快くする
おわりに
第4章 「体臭」をコントロールする(一部無料公開)
人生のステージには、いつも「体臭」がある
人生を振り返ると、誰しも、そのステージに応じたにおいを思い出すことができるだろう。環境のにおいと体臭が合わさったにおいだ。
赤ちゃんといえば、母乳やミルクの甘いにおい。母乳栄養の赤ちゃんの便は、ビフィズス菌が多く、酸性で酸っぱいにおいがする。
小学生は、エクリン汗腺からの汗が主で、あまり臭わないが、汗を放置するとツンとするにおいがする。特に発汗が多い足は、もうこの頃から一丁前に大人と同じように強烈な足臭がするようになる。
もっとも、最近の小学生はあまり汗をかくような遊びをしないようだから、これもノスタルジックなにおいになってしまったのかもしれないが。
思春期には、アポクリン汗腺の活動とともに、汗の分泌が増えるので、特有のツンとするにおいがしてくる。体臭に個性が出てくるのもこの頃だ。好きな子のにおいをクンクンした思い出がある方もいるのでは? 皮脂の量も増えてにおいやすくなり、男子運動部員が集う部室や、ユニフォームなどは、まさに強烈なにおいがする。青春の思い出には、においがつきものだ。
汗のにおいは、汗の中のミネラル分が常在菌を繁殖させることで発生するので、サラサラの汗をかく習慣を持つようにし、さらにその汗を放置しないことがにおいの予防になる。
人生にも脂がのってくる30代からは、実際に皮脂分泌量もピークになる。首筋や体幹、そして頭の皮脂腺から分泌される皮脂の、脂肪酸の酸化によって発生するペラルゴン酸やジアセチルなどが、ミドルエイジ特有の強烈なにおいを作り出す。
ちなみに、ペラルゴン酸はライオンが、ジアセチルはマンダムが発見したにおいの原因物質だ(*44)。
体力的にも衰えが目立ち始める40代以降からは、これに、ややカビ臭いとも感じられる加齢臭が加わる。やや鄙びた印象のにおいとなり、男女ともに年齢を感じざるをえない体臭になる。こちらも皮脂の脂肪酸の酸化によって発生するノネナールが原因だ。
皮脂の酸化を防ぐには、皮脂分泌を促進する食生活を改善し、酸化を抑える抗酸化物質を摂取し、ストレスをリリースすることが大切だ。その方法については、この章の後半で詳細をお伝えしたい。
現役時代を過ぎて枯れ始める60代以降は、ついに老人臭の始まりだ。高齢者からアンモニア臭を感じたことはないだろうか。尿漏れやトイレの失敗によって、衣服についた尿がにおう以外にも、体全体からアンモニア臭が感じられることがあるだろう。前述のように、ストレスや肝臓への負担で、中年以前にもアンモニア臭がすることがある。
高齢者の場合は、汗や皮脂の分泌も衰え、加齢臭も減少してくる一方で、腸内環境の悪化によって、腸内細菌から分泌されたアンモニアが血液中に吸収され、肝・腎機能の衰えから処理しきれずにあふれると、汗に混ざってアンモニアが排泄されるようになる。
私自身も、曾祖父を思い出すと、部屋の情景とともに、アンモニア臭が蘇る。90歳を超えても皮脂の分泌が多く、頭皮がテカテカしている人だったので、ついでにツルツル頭からは加齢臭も……。
もう「人生も終焉」と思い、枯れていこうと思われるのならばその限りではないが、「まだまだ現役」「生涯現役」と思われるなら、老人臭を身にまとうのは避けたいところだ。腸内環境の改善に努め、肝・腎をいたわることで、予防ができる。
外見を繕っても、においは正直だ。年齢を感じさせないでいるためには、ライフスタイルから体臭をマネージメントしよう。
汗をにおいの原因にしない方法――能動汗腺を鍛える
本来、汗自体はほぼ無臭だ。汗の中の栄養成分が常在菌を増やし、その代謝物が、においの原因になる。
汗をかかないようにすればいい、というわけではない。汗は体温調整のために不可欠で、汗をかくことができないために熱中症になる人も多く、夏場は毎年問題になっている。においの原因になりにくい「サラサラ汗」をかきやすくするためにも、発汗習慣はむしろ積極的に持って、能動汗腺を鍛えた方がよい。
汗のにおいを抑えるには、
- 能動汗腺を鍛える発汗習慣を持つこと。
- かいた汗はこまめに拭き取ること。
- ケア用品は、自分に必要なものを適正使用すること。
能動汗腺を鍛えるなら、何よりも、じわじわと体温を上げる有酸素運動が有効だ。発汗のためには20分以上継続したい。心身の健康のためにも、体臭の改善にも、大変有効だ。
初めはベタベタ汗しかかくことができなくても、継続するうちに、爽やかなサラサラ汗が玉のように溢れてくるだろう。こうなれば、眠っていた能動汗腺が起きてきた証拠。「若返った!」と自信を持とう。
汗腺が眠っている状態で、負荷の高い運動をすると、汗の質が余計悪化しやすいので注意しよう。
汗をかいた後は、シャワーでサッと流して終わりにするようなもったいないことはせず、さらに入浴して汗をかこう。42度で15分程度、湯船に浸かると、500mlのペットボトル1本分以上の汗をかくことができる。脱水にならないように水分を補給しながら、どんどん汗をかくようにすることで、汗腺に溜まったゴミや垢、老廃物も排泄することができる。発汗を促す炭酸ガスを発生する入浴剤や塩などを入れるのも効果的だ。
私自身は、中世から広く欧米で入浴剤として使用されている「エプソムソルト」を使っている。ソルトと言いながら、塩ではなく、海水からとれる硫酸マグネシウムだ。
エプソムソルトは保温効果が高く、発汗も早い。海と同じ程度の0・1~0・2%の濃度が目安で、浴槽のお湯が150Lの場合は、150~300gが適量だ。大量購入して、ドカドカ使っている。キロ単位で販売されているので、ネットショップで購入されることをお勧めする。
岩盤浴やサウナも、能動汗腺を起こすには有効だ。血流は安静時の2倍になり、正しく入れば、疲労回復や血流改善、免疫力向上にも効果がある。
ただし、血圧の変動や循環器系への負担があり、サウナで倒れて救急車で運ばれるケースも後を絶たない。生活習慣病の持病がある人は、入浴程度にしておく方が無難だ。
また、妊活中の男性も注意したい。80~90度のサウナに3カ月間、週2回、1回15分、入ったところ、精子の濃度と数、運動率を低下させたというイタリアの研究報告がある。精子は、熱に弱いのだ。6カ月間のサウナの中止で、精子は完全に元に戻ったことが確認されているので、子どもを望む期間は、サウナは一度中止をした方が良さそうだ(*45)。
能動汗腺を鍛え、自律神経を整えるためには、冷房しすぎには注意したい。夏といえば、家庭でもオフィスでも、女性陣対男性陣のエアコンの温度設定戦争が勃発する季節だが、多くの男性がお好きな18度設定は、体臭にも健康にも大変悪い。
冷えすぎで、汗腺は眠り、血流が低下し、全身のコリや疲労蓄積の原因になる上、猛暑の外気温との大きな差がストレスとなり、自律神経失調を招くことで、内臓機能低下から、夏バテだけでなく、ストレス臭の原因にもなる。
エアコンの設定温度は、27~28度、もしくは外気温マイナス3~4度を目安にしよう。外気温との差が5度を超えると、「寒い!」と感じる人が続出する。体感温度を下げるために、扇風機を併用したり、除湿機能を使うのも効果的だ。
つづきの小見出し
- 汗のにおいをケアする商品――制汗、殺菌、消臭、マスキング
- 足臭は、神様の足か、ウォッシュチーズか
- 強い腋臭体質の治療法
- ミドル臭や加齢臭の予防には、毎日サビ取りを
- サビない、臭わないためのライフスタイル――有酸素運動と、リラックス
- 頭臭にはアミノ酸系シャンプーがお勧め――Tゾーン以上の皮脂量を誇る頭皮
- 頭の脂が原因で、カビが大繁殖
- 頭臭にも抜け毛にも――「休プー」のススメ
- 頭にも、環境にも優しいクレイシャンプー
- 「おならが臭い」は、笑えない
- タンパク質の消化を良くするために
- 腸内細菌叢のバランスのタイプと、食事の相性
- 悪玉菌のエサ=砂糖の代わりに、オリゴ糖を
- 老人臭は、腸と肝臓の悪循環
- 肝臓は数々の要因で疲れている――グルタチオンやオルニチンが助っ人に
第4章、以上です。
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