第3章「口臭」の正体と、その対策
においは、健康のバロメーター。
各メディアで話題の『日本人はなぜ臭いと言われるのか』
「はじめに」「おわりに」を完全無料公開。
各章の一部も無料公開致します。
第3章は、口臭!
強烈な口臭の持ち主ほど、そのニオイに気づいていないものです。
口臭の原因の8割は、歯周病ですが、35歳以上の日本人の8割は、何らかの程度の歯周病。
食後に歯磨きさえしていれば、OK!は大間違いなのです。
この章では、口臭についてもっと知識を深めていただき、その対策までお伝えしたいと思います。
書籍の目次
はじめに――実は、臭い! ? 残念な日本人
第1章 「におい」を知る
第2章 「臭う」は、不健康
第3章 「口臭」の正体と、その対策
第4章 「体臭」をコントロールする
第5章 「香り」のデザイン――自分も周りも快くする
おわりに
第3章 「口臭」の正体と、その対策(一部無料公開)
誰にでもある、生理的な口臭
口臭というと、かなりイメージが悪いが、そもそも、口臭は誰にでもあるものだ。たとえ絶世の美人であっても、誰もが排泄をするのと同じように、生理的な口臭はある。口臭の分類について、(〓表〓)を参考にしてほしい。
起床時や緊張時は、口が渇いてしまい、口の中を流れる「殺菌作用のある清流」である唾液の分泌量が低下したり、流れの停滞が起こる。それにより、口腔内の常在菌が増加して、においの原因になる。加齢現象によっても、唾液の分泌が低下するので、口の乾燥から口臭がしやすくなる。
長い空腹や、断食に近いダイエットなどで飢餓状態になると、脂肪をエネルギーに変えるためにケトン体が発生して、呼気を通じて口からケトン臭がするようになる。コントロールの悪い糖尿病や、糖質制限食を実践している場合も同じだ。
慢性疲労などでは、肝代謝の低下からアンモニアが分解しづらくなり、体臭だけでなく、呼気を通じて口からもアンモニア臭がするようになる。
アルコールは、肝臓での処理速度をオーバーすると、血液にあふれて翌日までにおってしまう。深酒して、酒臭いまま仕事に行くなどということは、止むに止まれぬ時か、若気の至りにしておこう。こうしたことが日常になると、肝臓にも負担がかかるので、前章でも述べたように、アンモニア臭の原因にもなる。汗や口がおしっこ臭いなんて……。
にんにくや玉ねぎ、ねぎなどは、デート前には食べたくない食材の代表だろう。におい成分・アリシン(硫酸アリル)は、揮発性で拡散しやすく、体内に入るとより強烈なにおい成分に変化する。
アリシンは、直接の口臭としては、3時間程度でなくなるものの、体臭や呼気からの口臭としては、1日から、長くて2日も残ってしまう。消化管から吸収され、血液に溶け込んで全身に拡散し、汗や尿から排泄されて体臭となったり、呼気を通して口臭となったり、また便臭やおなら臭としても、強烈に存在感を発揮する。歯磨きだけをしても無駄なのは、体内からにおうためだ。
禅寺では、これらのにおいの強い野菜を五葷(ごくん)と言い、気を損なうからと、修行僧に禁じてきた歴史もあるほどだ。
一方、このにおい成分は、天然の抗酸化物質でもあり、疲労回復や血糖値・血流の改善、殺菌作用、抗がん作用などが確認されている。
即効性の疲労回復で人気のにんにく注射には、このにおい成分アリシンと、ビタミンB1(チアミン)が結合したビタミンB1誘導体が含まれている。アリシンを含んでいるので、直接静脈に注射をすると、血流に乗ってにんにく臭が鼻に抜けるために、にんにく注射と呼ばれるのだ。
男性よりも、月経がある女性の方が、ホルモンによる口臭の変化を感じやすい。排卵前に女性ホルモン・エストロゲンの分泌がピークになると、口臭の原因になる揮発性硫化物が急増するとされている。また、月経前にも増加しやすくなるそうだ。ケアしていれば気にならない程度だし、自覚している女性も少ないだろう。
閉経や老化で性ホルモンが減ると、ドライマウスが起こりやすくなり、口臭は強くなる。
治療すべき、病的な口臭――においの種類で分類
一方で、病的な口臭の原因には、歯科口腔内疾患に起因する口の中の原因、耳鼻咽喉科疾患に起因する鼻やのどの原因、そして全身の原因がある。どんなにおいがするかで、分類してみよう。
◎腐敗臭・腐肉のようなにおい
- 歯周病(歯肉炎、歯周炎)など口腔内の感染症
- 過剰な舌苔
- 鼻や喉の感染症や炎症(鼻炎、副鼻腔炎、扁桃炎など)
- 口腔内・咽喉頭の悪性腫瘍
腐敗臭がするのは、常在菌であれ病原菌であれ、細菌が増殖してしまう場合、また、がんのように組織が壊死して膿を伴う場合だ。
◎イオウのようなにおい
- う歯(虫歯)
う歯=虫歯は、小さなものではそんなに臭うことはないが、進行して神経まで侵されたり、詰めものの奥が虫歯になる2次カリエスの状態になると、においが起こるようになる。イオウのようなにおいがする。
歯周病も併発することが多いので、腐肉臭とイオウ臭が混ざると、強烈なにおいになる。
◎甘酸っぱいにおい
- 飢餓
- コントロール不良の糖尿病
- 厳格な糖質制限ダイエット、ケトジェニックダイエット・断食
これは、生理的な体臭にもあるケトン臭である。悪臭とは言えないが、糖尿病患者でこのにおいがしたら、即、病院に行く方が良い。
◎腐った卵のようなにおい
- 胃腸障害(胃炎・胃十二指腸潰瘍)
よく、胃が悪いと口臭がするというが、これは胃から直接、においが上がってくるわけではない。不消化になった食物が腸内で異常発酵し、におい分子が血流に乗って、肺から呼気として排出されることで口臭となる。
◎カビのようなにおい
- 肝機能障害
ドブ、排水溝、ネズミ臭とも言われる。本来、肝臓で解毒されるはずのにおい分子が分解されず、呼気を通して口臭となる。
◎アンモニアのにおい
- 腎機能障害
- 末期の肝機能障害
尿から排泄されるはずのアンモニアが十分排泄されず、呼気を通して口臭となる。末期的に肝機能が悪化すると、カビ臭からアンモニア臭に移行する。
つづきの小見出し
- 口の中の花畑が、病気から身を守る
- 虫歯や歯周病は、キスからもうつる感染症
- プラークコントロールが超重要
- 長優秀、唾液のパワーを侮るな
- ふわふわ柔らか食感好きは口臭の元!?
- スマホによる口臭が増殖中
- ガラパゴス化する日本の、NGな歯磨き法
- 食後すぐ磨く、は逆効果
- 歯磨きにおすすめのタイミング
- ブラッシング法と歯ブラシの選び方
- 道具にこだわる人のための高性能な歯ブラシ
- 歯間ケア・フロッシングの基本と道具の選び方
- やみつき必須の「口腔水流洗浄器」
- 舌苔は、歯ブラシで磨くべからす――正しいお手入れの仕方
- 唾液分泌を促すマッサージとエクササイズ
- 口臭を予防する歯磨き粉の選び方――抗菌成分の使い過ぎに注意
- フッ素について――有効か、危険か
- 液体オーラルケア用品の使い方――アルコールに注意
- 善玉菌で口臭を予防する「バクテリアセラピー」
- 口臭を予防する栄養素
- 口臭を測る検査がある
第3章、以上です。
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