第2章「臭う」は、不健康

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においは、健康のバロメーター。
各メディアで話題の日本人はなぜ臭いと言われるのか』

「はじめに」「おわりに」を完全無料公開。
各章の一部も無料公開致します。

第2章は、本書のエッセンス。
「においは、健康のバロメーター」について詳しくお話ししましょう。
逆に言うと、悪臭は、不健康!
汗臭の悪化や加齢臭発生の原因は?
自分の生活習慣病、周りにニオイでバレてるかも!?
根本的な口臭・体臭対策は、総合的なヘルスケアにつながります。

書籍の目次

はじめに――実は、臭い! ? 残念な日本人
第1章 「におい」を知る
第2章 「臭う」は、不健康
第3章 「口臭」の正体と、その対策
第4章 「体臭」をコントロールする
第5章 「香り」のデザイン――自分も周りも快くする
おわりに

第2章「臭う」は、不健康(一部無料公開)

悪臭は、「他人に不快」で「自分に不健康」

第1章で述べたように、においは動物的であり、個人的であり、社会的であり、文化的なものなので、人々を魅了するわけだ。においについての話は尽きないが、ここからは、本書の主題である、人の発する体臭や口臭について掘り下げていきたい。

もう一度断っておきたいが、本書の目的は、無臭化することではない。本来の自分のにおいである生理的な体臭や、誰にでも起こる生理的な口臭に対しては、過剰反応することなく、適切に認識し、自己管理し、生かすことを提案したいと思う。無臭社会よりも、自然なにおいが人や風景に伴う社会の方が、芳醇ではないか。

ここで問題にしたいのは、人に不快感を与え、自分自身の不調の表れでもある病的な体臭や口臭についてだ。

知らず知らずのうちに、周りの人たちに嫌な思いをさせ、マイナスイメージを与えてしまう、などということは避けたいものだ。同時にその体臭や口臭は、自分自身の体や心のコンディションの表れなので、においを根本的に解決することは、実は、心身をメンテナンスすることなのである。心身ともに若々しく元気になることで、体臭や口臭も良くなり、周りの人たちも快くなり、人間関係も円滑になる。

においをマネージメントすることは、自分にとっても周りの人にとっても、メリットしかないのだ。

体臭とは何か――エクリン汗腺、アポクリン汗腺

「広義の体臭」とは、人の体表面から放散される「狭義の体臭」と、呼吸によって放散される「口臭」を含むものである。

まず、狭義の体臭とは、主に、皮膚のにおいだ。汗腺(エクリン汗腺・アポクリン汗腺)や皮脂腺を通じて体内から体外に分泌される分泌物と、皮膚の表面に住む常在菌の作用による。

これは、年齢、性別、性格、食生活、生活習慣、体のコンディション、また、遺伝にも左右されている。

エクリン汗腺は、全身に存在する汗腺だ。エクリン汗腺から出る汗は、さらっとしていて、99%が水分である。スポーツなどで体を動かした時にかく「玉のような汗」は、このエクリン汗腺からのもので、健康的な汗だ。

成分のうちの残り1%が、塩分や尿素、アンモニア、イソ吉草酸などの脂肪酸であり、においの原因ともなるが、濃度が低いので、汗自体はほとんど臭わない。

一方、アポクリン汗腺は、人においては退化していて、脇の下や陰部、肛門、乳輪、耳の中などの毛穴に開口する。限られた部位に存在する汗腺だ。

アポクリン汗腺からの汗は、タンパク質、脂質、糖質、アンモニア、鉄分などの栄養成分が豊富な上に、ナトリウムをほとんど含まない。だから、常在菌が増えやすく、分解された成分の発酵臭が、俗に言う「腋臭」または、「腋臭症」とも呼ばれる独特のにおいになる。粘り気があり、乳白色〜乳黄色の汗が出るので、シャツが黄ばみやすいのも悩みの種だ。

一般に、耳垢がジュクジュクしている人は、腋臭体質だと言われるが、これは外耳道のアポクリン汗腺の分泌が活発なためだ。強い腋臭の人は100%、耳垢が湿っている。

汗のにおいは、鍛えれば良くなる

エクリン汗腺からかく汗は、主に体温調整のためで、生理的なものだ。

エクリン汗腺は、全身に平均350万個あるが、そのうち、活動している「能動汗腺」は、半分程度だとされている。汗の量は、この能動汗腺により違ってくる。

その数は、生後3年間に過ごした環境によって決定されてしまい、後から変えることはできない。熱帯地域で生まれ育つと、体温調整のために能動汗腺が多くなり、寒冷地域で生まれ育つと、少なくなる。

それでも、エクリン汗腺は、鍛え、機能を良くすることができる。年々サラサラの汗をかけなくなり、ベタベタでにおう汗しかかけなくなるのは、エクリン汗腺の機能低下が関係している。

能動汗腺といえども、高齢化すると休みたくなるのだ。運動をしなかったり、しっかり湯船に浸からなかったり、夏もエアコンの効いた部屋ばかりにいるなど、体温調整をする必要がないと、能動汗腺が休眠モードに入り、サラサラの汗をかきづらくなる。

また、汗は、血液の血漿をろ過して作られるが、この時、ナトリウムなどのミネラル成分なども汗といっしょに排泄される。ミネラルは体に必要なものなので、エクリン汗腺は、これらを再吸収して利用する(〓図〓)。

しかし、発汗する習慣がないと、再吸収の機能が低下し、汗の中にミネラルなどの栄養成分がそのまま排泄されやすくなり、ベタベタになる上に、常在菌に餌を与えることで増殖を促し、においの原因になってしまう。

エクリン汗腺がしっかりと機能している人の汗は、ナトリウム濃度が低いので、あまりしょっぱくない。汗がしょっぱくベタベタなら、発汗習慣不足ということ。においの原因になるので、習慣を改善したい。

つづきの小見出し

  • 人類の半分は、腋臭である
  • 動物の汗腺――フェロモンの強力なラインナップ
  • 加齢臭の正体――皮脂腺の分泌物の酸化
  • 平成のモテ男は石鹸を使わない――常在菌とともに生きる
  • 日本人は、なぜ口が臭いのか
  • 悪臭は、病気のサインと心得よ――口臭の原因
  • 歯周病や虫歯が、全身病を引き起こす
  • 口腔ケアが、認知症やがんの予防にもなる!
  • 体臭の悪化は、生活習慣を見直せ
  • 糖質制限でにおう?――理想の食の見つけ方
  • スイーツ男子は、豚骨スープ男子――「ギトギト」の原因は糖質の摂りすぎ!
  • 上質な体は、脂質で決まる――細胞膜の驚異的な働き
  • 「細胞の脳」(=細胞膜)の柔軟性を保つ脂質
  • ベタベタ汗臭は、嫌悪感ナンバーワン
  • ストレス臭や疲労臭は、現代病――ツンと臭ったら、疲れの証拠
  • 「自分が臭い」と妄想する心の病

第3章、以上です。

   

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この記事を書いた人

編集長/桐村里紗

内科医・認定産業医
tenrai株式会社代表取締役医師
治療よりも予防を重視し、ヘルスケアを「ライフスタイルデザイン」再定義し、最新の分子整合栄養医学や生命科学、常在細菌学、物理学などをもとに、執筆、メディア、講演活動などで、新しい時代のライフスタイルとヘルスケア情報を発信。 著書に、『日本人はなぜ臭いと言われるのか〜体臭と口臭の科学』(光文社新書)など。