汗臭の悪化と退化をもたらす無発汗習慣を変えよ

LINEで送る
Pocket

極力汗をかきたくないと考えてはいないだろうか?
そう考えなくても、エアコンの効いた部屋で過ごし、運動をしない現代人は、発汗しなくなっている。
しかし、人類は、発汗しない習慣により、悪臭化し、退化し、おまけに脳をバグのリスクに晒しているとしたら…。

人類に搭載された発汗という最先端機能

発汗は脳の冷却装置である

暑い日に、汗をかく小鳥やトカゲ、犬や猫を見たことはあるだろうか?
例えば、ペットの犬は、毛を脂でベタつかせながら、舌を出してハアハア呼吸しているだけだ。どんなに暑くても、彼らはほとんど汗をかかない。
一方で、人間は、全身から汗をかく。それは、人類に特徴的な体温調節の方法だ。

そもそも、野生動物の多くは、十分に体温調節ができないために、日中は眠り夜に活動している。一方で、人は脳を進化させ、日中に知恵を働かせて活動することで生き残った高等動物だ。
特に、高度に進化した脳は他の動物と比べてかなりの活動量があるが、コンピューターと同じように脳は熱に弱い。熱を冷却させないとバグが起きてしまう。
環境の熱や活動の熱を冷却させるための装置が、全身に発達させた汗腺であり、汗なのだ。
発汗機能を備えているということは、つまり、最先端機能を備えているという証。
それなのに、あえて汗をかかない努力は、高等動物としての危機であり、あえて退化へと向かう蛮行と言えるかも知れない。

冷却装置を支えるエクリン汗腺

汗をかく管には、2種類ある。

  • エクリン汗腺:全身に分布
  • アポクリン汗腺:脇や耳の穴、陰部、乳輪に分布

体温調節としての発汗は、全身に備わるエクリン汗腺からかくものだ。
アポクリン汗腺は、フェロモン分泌の名残であるが、人ではほとんど退化している。腋臭(ワキガ)の原因にもなる。これは別の記事で述べるとして、今回はエクリン汗腺について話そう。

健康な汗は99%が水分

エクリン汗腺からかく汗は、血液の血漿をろ過して作られる。
99%が水分である。だから、汗自体はほとんどニオわない。
ナトリウムなどのミネラル成分なども汗といっしょに排泄されるが、そもそもミネラルは体に必要なものなので、これらを再吸収して利用するシステムが備わっている。
だから、汗腺の機能が正常であれば、あまりしょっぱくないサラサラの汗になる。
スポーツ選手がかくような、玉のようなサラサラの汗を想像して頂きたい。いかにも、爽やか!
しかも、この汗はニオイにくい。皮膚の常在菌のエサになるミネラル分が少ないので、細菌が増えづらく、ニオイの原因になりにくいのだ。

発汗しないと汗腺はサボる、そして汗が臭くなる

そもそもの汗のかきやすさは、働いているエクリン汗腺・能動汗腺の数だ。平均的には350万個程度とされるが、そのうち半分くらいが活動していて、残りは眠っている。
能動汗腺の数は、生後3年間に過ごした環境によって決定されている。乳幼児期に暑い環境で育つと、能動汗腺の数は増え、寒い環境で育つと、能動汗腺の数は減る。

その能動汗腺も、老化や汗をかかない習慣によってさらにサボり始める。よって、年々汗をかきづらくなり、体温調節ができなくなるので、熱中症にもなりやすくなる。
さらに、普段から汗をかかないと、汗の管のミネラルを再吸収するシステムが機能低下する。そのため、汗にミネラル分が出てしょっぱくてベタベタした汗になる。
ミネラル分は常在菌のエサになるから、細菌が喜んで増え、細菌の代謝物がニオイ成分となり汗臭となってしまう。

2018年酷暑の夏に、ベタベタ汗しかかけずに熱中症気味になった方。
汗臭警報発令に加え、脳の冷却装置の機能低下、そして退化している可能性がある!
来年も確実に訪ずれる酷暑に備え、今から汗腺を鍛え、発汗できる進化系人類に戻ろうではないか。

汗腺を鍛えて汗を無臭化する2つの習慣

汗臭を改善するには、むしろ汗を日常的にかくことだ。
何も、仕事中にかけということではない。何度もシャツを変えるわけにはいかないし、ムレたシャツは不潔な印象を与えかねず、ビジネスマンにとっては痛い。
1日1回、何らかの形で発汗すれば良い。

  • エクササイズ・スポーツ
  • 入浴・岩盤浴・酵素浴(サウナ)

エクササイズ・運動

運動不足でサラサラ汗がかけない人も、運動習慣を身につければ、汗の質が変わってくる。
じっくり汗をかくには、軽く息が上がる程度の有酸素運動として、パワーウォークやジョギング、サイクリングなどでも良いし、好きなスポーツでも良い。
筋トレを組み合わせると筋肉量が増えて燃焼効率がよくなるので、普段から汗をかきやすくなる。
毎日とは言わないが、週に何回かは時間を作りたいところだ。筋肉を使うと、脳もリフレッシュするので、冷却のためにも脳に溜まった情報のゴミをクリアにするのにも良い。

入浴・岩盤浴・酵素浴・サウナ

シャワーだけで済ませず、入浴するのが最も手軽にできる発汗習慣だ。
42度で15分程度、湯船に浸かると、鍛えれば500mlのペットボトル1本分以上の汗をかくことができる。時間がある日には、40度程度のぬるめのお湯に半身浴をして30分以上ゆっくり浸かるのも良いだろう。水分をあらかじめ摂取してから入浴する方が汗をかきやすくなる上、脱水も予防できる。
温浴効果を高める炭酸ガスの出る入浴剤湯の花エプソムソルトなどを入れるのもオススメの方法だ。
岩盤浴酵素浴などもじっくり汗をかけるので良い習慣だ。普段かけないサラサラ汗をかきやすくなるだろう。
サウナは、フィンランドなど北欧の文化で汗腺を鍛えるのには良いが、( )にしたい。中年以降では心臓に負担をかける場合があるので、ちょっと気をつけて頂きたいという思いから。多くの男性はサウナがお好きなことはよく存じているが、サウナで倒れて病院に運ばれる方もおられるため…。

編集長:桐村里紗
どうぞ、お気をつけあそばせ!

と、最後は私的な意見も交えつつ、お伝えした。
筆者も、この冬から股関節を痛めてしまい、運動を一時やめてしまい、汗をかく機能が低下したままこの夏を迎えた。
7月、早くもクラクラ。しかも、汗はべったりと張り付き、ニオう!さらに、脳にもバグが!
これはかなりマズいと8月からパーソナルジムに通い、パワーヨガを開始。ようやくサラサラ汗をかけるようになり、全体の機能が回復すると共に…ニオイももうしなくなったわよ!!!

LINEで送る
Pocket

この記事を書いた人

編集長/桐村里紗

内科医・認定産業医
tenrai株式会社代表取締役医師
治療よりも予防を重視し、ヘルスケアを「ライフスタイルデザイン」再定義し、最新の分子整合栄養医学や生命科学、常在細菌学、物理学などをもとに、執筆、メディア、講演活動などで、新しい時代のライフスタイルとヘルスケア情報を発信。 著書に、『日本人はなぜ臭いと言われるのか〜体臭と口臭の科学』(光文社新書)など。