歯磨きだけでは NG!口臭ケアやるべき基本のキ

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「歯磨きさえしっかりしてれば完璧!」なんて幻想の世界に生きていないだろうか?
私たちは確かに、学校では歯磨きを習い、習慣づけたが、それ以外に何も習わなかったような気がする。だから、それでいいと思ってきたのだ。
しかし、それは、あらゆるものがガラパゴス化する島国NIPPONの特殊な進化でしかなかったようで、故に、残念ながら、お口のケアについては文化が大変遅れているようなのだ。
詳しくは、書籍「日本人はなぜ臭いと言われるのか 口臭と体臭の科学」はじめに(全ページ公開)を参考にして頂きたい。

今こそ、文明開化の時が来た!

口臭ケア:歯周病ケア基本のキ

「口臭について教えて」では、病的な口臭の主な原因は、歯周病由来とお伝えした。
自分は関係ない!なんてことはない。
厚労省(歯科疾患実態調査H23年)によると35歳以上の8割は、予備軍〜本格的な歯周病であるとのこと。しかも、H5年の調査では、10歳以上の子供でも、約半数が歯周病の一種である歯肉炎と報告されている。
しかも、歯周病は、ギネスにも認定されている世界で最も多い感染症お口の中には便と同じか、それ以上の細菌がいるのだから、誰もが無関係ではいられない。

エチケットとしても、やるべし!
ですね。
さて、今日は、口臭予防・歯周病予防の基本のキとして、世界的にスタンダードなお口のケア法をご紹介しましょ。

基本のキ①:必須アイテムは歯ブラシだけにあらず

歯周病予防には、「プラークコントロール」というキーワードをCMなんかでよく耳にする。
「あぁそっか、プラークコントロール用の歯ブラシと歯磨き粉で磨けばいいんでしょ?」っと思っていないだろうか。
これだけでは、歯の表面のプラークはとれても、歯間や歯周ポケット内のプラークは除去できない。プラークは歯間にこそつきやすいし、そもそも、歯周病菌は歯の表面ではなく、酸素も届かないような歯肉の奥底がお好き
歯ブラシだけでのケアはプラーク除去率は低い(日本歯科保存学雑誌,48,722(2005))

  • 歯ブラシだけ:61.2%
  • デンタルフロスを併用: 79%
  • 歯間ブラシを併用:84.6%

歯ブラシだけでは間に合わないプラーク除去には、ちょっと特殊な歯ブラシ歯間ブラシ・デンタルフロスが必須になる。

タフトブラシをゲッツ!:隙間や歯と歯茎の間

普通の歯ブラシでは磨き残しやすいのが、

  1. 歯と歯の間
  2. 歯と歯茎の間
  3. 奥歯と奥の歯肉の間
  4. 歯の裏側の隙間
  5. 歯並びの悪い部分

こういったところを磨くなら、コンパクトなヘッドで小回りがきくタフトブラシをゲットしよう。

歯と歯茎の間の歯周ポケットの中を磨くには、タフトブラシの中でも固く山型のタイプよりも、毛が極細で歯周ポケットに入りやすく、柔らかく歯肉を傷つけにくい写真のようなタイプが良い。
予防歯科先進国スウェーデンでは、タフトブラシは基本アイテムとして愛用されている。
日本製で日常に使うなら、

歯間ブラシとデンタルフロスはランチ必携

食後に食べかすをとるのに、歯ブラシを利用していないだろうか。基本的にはそれではしっかり取れないし、歯間のプラークまで除去するなら、歯間用のアイテムとして歯間ブラシデンタルフロスは必携だ。
30超えて、まだ使ってなければ、きっと初めて使うと驚愕の体験をされるだろう。
その臭い物体の細菌密度は、便以上の可能性が高い!ケア不足のプラーク、これだ!

  • 歯間ブラシ:ブラシ状
    ・毛のタイプ/ゴムタイプ
  • デンタルフロス:ヒモ
    ・完全なヒモ状/ヒモを土台につけたY字フロスなど
    ・ワックスタイプ/ワックスのないタイプ
歯間を広げないサイズ選びが重要

いずれも、4S~2Lまでサイズがあるブランドを選ぶ方が良い。
無理なく入るタイプを選ばないと返って歯間を広げてしまう。特に歯間ブラシの方は歯間が空いていない箇所には入らないので、無理に使わない方が良い。歯間が狭い場合は、細いフロスを選ぶようにしたい。

プラーク除去の軍配は?

プラーク除去については、歯間ブラシの方がやや勝る。ゴムのタイプよりは毛のあるブラシタイプの方がプラーク除去が効率的だ。

フロスの利便性は?

デンタルフロスについて、利便性や使いやすさでは、Y字フロスをオススメしたい。ヒモ状のものは歯間がかなり狭いタイプには適しているが、特に奥歯に使う際にテクニックがいるし、「面倒くさい!」という印象を持ってしまいやすい。

初めのハードルは低い方がいいのよね。

フロスを選ぶなら

結論としては、Y字タイプが万人に使いやすい。Y字タイプを使っている。歯科用のY字タイプといえば、これ!というのが、

  • LION DENT.EXウルトラフロス

    我が家でもこちらを使っている。
    基本的にSかM。
    お初ならば、Sを選ぶと良い。
    入らない場合は無理に押し込まないように。
    LION DENT.EX ULUTRA FLOSS

歯間ブラシを選ぶなら

歯科にてよくお勧めされている歯間ブラシブランドといえば、

  • ルシェロruscello歯間ブラシ

    豊富なサイズラインナップで持ち手が長く、
    ヘッドが180度回転するので、奥歯にも使いやすい。
    ルシェロ歯間ブラシ
  • ライオンDENT.EXシリーズ歯間ブラシ

    こちらも歯科用のシリーズであれば、
    4S~2Lまでのサイズが用意されている。
    ライオンDENT.EXシリーズ歯間ブラシ

奥歯への届きやすさ:ほぼ同じ
ブラシの硬さ:ルシェロよりライオンの方がやや柔らかい
4Sサイズの細さ:ライオンの方が細い

ビギナーや歯間が狭い方、歯肉が出血しやすい方は、ライオンの歯間ブラシから始める方が無難かと思う。

LIONは、明治時代に日本で最初に西洋式の歯磨き粉を発売した老舗メーカー。歴史が古い信頼のブランドなのね。
デンタルフロスと歯間ブラシは、それぞれに得意不得意があるから、可能であれば併用する方が効果的。
歯間ブラシも、慣れたら病みつきになるのだけど、やり過ぎると歯間が広がってしまうのでほどほどに。

基本のキ②:食後は、歯ブラシよりも歯間ケアが優先

歯ブラシのタイミングとして、日本では食後3回が良しとされている。これぞ、ガラパゴス化の象徴。戦後、日本の口腔衛生を高めるために、分かりやすく食後3回に設定したに過ぎない。
食後は、お口の中の細菌が洗い流されて、実は最も細菌が少ない時間帯。しかも、唾液という清流が、殺菌をし、お口のpH環境を整え、柔らかくなった歯の修復をしようとたくさん分泌されている(「唾液力!口臭予防に今こそフィーチャー!」をご参考に)。
これを洗い流してしまうともったいない!
食後は、まず、フロスや歯間ブラシで歯間ケアを行い、しっかり唾液の通り道を作ることを優先しよう。食後に歯を磨くなら、口腔内の環境を一通り唾液が整え終えた後の食後1時間程度からが無難なタイミングだ。

基本のキ③:睡眠と歯磨きはセット

絶対に磨かなければならない時間は、就寝の前後だ。就寝中は唾液が減るので、細菌が増えやすく、プラークが形成されやすい。
なので、歯磨き必須のタイミングは、就寝前・起床時の2回。
寝る前に、歯磨き。起きたら、歯磨き。歯磨きは睡眠とセットと考えよう。

朝起きた時の口臭が一番強いよな。
お口が粘ついて気持ち悪い時があるわ。
ナゼクサ先生
それは、寝ている間に口臭の原因菌が増えてしまった証拠よね。寝る前にしっかりケアする習慣をつけると朝に違いを実感すると思うのね。
ケアに使えるアイテムもこれから色々紹介していきますね。

ケアの基本のキ

  1. 歯ブラシ+タフトブラシの二刀流
  2. 食後は、歯間ケアアイテムを駆使
  3. 唾液のジャマをすべからず
  4. 歯磨きと睡眠はセットと心得る

応用編:ドブ掃除に必須の2つの強力アイテムはこれ

これらの基本のケアを長年怠って、既にドブ臭やザリガニ臭が発生している場合は、口臭の発生源・ドブ掃除に必須の2つの強力アイテムを参考に!

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この記事を書いた人

編集長/桐村里紗

内科医・認定産業医
tenrai株式会社代表取締役医師
治療よりも予防を重視し、ヘルスケアを「ライフスタイルデザイン」再定義し、執筆、メディア、講演活動などで、新しい時代のライフスタイルとヘルスケア情報を発信。 著書に、『日本人はなぜ臭いと言われるのか〜体臭と口臭の科学』(光文社新書)など。フジテレビの人気番組「ホンマでっか!?TV」には、ニオイ評論家として出演している。